青山学院大学駅伝部の原晋監督がゲストとして参加し、今後の指導者の在り方や、自主性や主体性を持ったスポーツ経験が社会での活躍にどのような影響を与えるかについて論じた。
このイベントでは、UNIVAS理事の伊坂忠夫氏、SPLYZA代表取締役の土井寛之氏、マイナビ アスリートキャリア事業部 事業部長の木村雅人も登壇し、それぞれの視点から意見を交わした。
原氏は中学から陸上を始め、中京大学では3年時に日本インカレ5000mで3位入賞した実績を持つ。卒業後は中国電力の陸上競技部に入部し、引退後は同社の営業部のサラリーマンとなった。2004年からは青山学院大学陸上競技部監督として、着実に改革を進めるとともに、2015年から2018年大会まで箱根駅伝で4連覇を飾るなど、独自の指導法で陸上界を大きくけん引している。
また伊坂氏は、1992年に立命館大学理工学部助教授に就任し、その後2010年にスポーツ健康科学部教授、2016年にスポーツ健康科学部長を経て、2019年に立命館学園副総長・立命館大学副学長に就任した。主に、スポーツ活動中や日常生活でみられるヒトの動きを力学的・生理学的観点から解析し、競技力向上や日常活動支援へ応用することをテーマに活動している。
土井氏は元製造業ソフトウェアエンジニアで、社会人になってからウィンドサーフィンに出会い、単身オーストラリアへ行った。帰国後の2011年にSPLYZAを創業し、30種類以上のスポーツで約900チームに利用されている映像振り返りツール『SPLYZA Teams』などを開発した。現在は「スポーツの教育的価値の向上」を目指して会社を経営している。
木村氏は5歳からサッカーを始め、高校卒業後にJリーグへ進んだ。引退後は大学へ入学し教育学を学び、2004年にマイナビ入社後、現在はアスリートキャリア事業部 事業部長として、「スポーツを通じた人材育成の可能性」をテーマにアスリートの「人材育成」と「就労支援」に関する事業を執行している。
2022年12月にマイナビアスリートキャリアとSPLYZAが実施した「スポーツ経験と社会での活躍の相関性」に関する調査結果から、指導方法により仕事への有効性や身に付く力に違いが出ることが分かった。選手・指導者のどちらかに依存した指導環境ではなく、選手たちから出てきた意見を踏まえた意思決定を行い、選手を指導する「双方向型」は、選手自身が考える機会が増えることで社会を生き抜く力の向上に繋がると考えられている。この結果を受け、原氏は、「指導者君臨型」や「サーバント型」のどちらかがよいというわけではないと述べ、「私自身も君臨型からサーバント型のリーダー(指導者)へ移行することにより、選手自身が考え行動できる環境になった」とコメントした。
また、伊坂氏は「双方向型で指導をしないと探求型学習はできないため、指導者と学生がディスカッションできる環境が必要になってきている。それを受け入れて行動していく指導者が多くなるべきだ」と見解を述べた。
セッション2では、指導者の在り方に変化が必要とされていることを踏まえ、選手の主体性を尊重した指導とはどのようなものになるのかを解説した。